天狗塚 てんぐづか
山行日 2015年1月29日
標高 1812m
登山口 東祖谷西山林道
駐車場 あり(登山口東)※登山口前に広い路肩も有り3~4台駐車可
トイレ なし
水場 なし
メンバ- ピオ-ネ、むらくも
天狗塚、この山に初めて登ったときに山頂から眺めた風景に驚いたことを覚えている。
それは東にある三嶺を眺めた景色でもなく、南の綱附森がある高知方面を眺めた景色でもなく、太平洋が見えたからでもない。
天狗塚から西に広がるあの茫洋とした牛ノ背を眺めたとき、その背中を是非歩いてみたいと思ったことでした。
その頃は三角点のある辺りをミツコバというがその地名も由来も知らなかった。
三角点の点名は古味という。
その日は吸い込まれるようにミツコバ方面に向かって歩いたが、時間がなく途中で引き返した。
そのとき、三角点方面から歩いてきた一人の男性に出合ったのですが、お尋ねしたところ牛ノ背西にある登山口から登ってきたとのこと。
なんのことかこのときは解らなかった。
当時、持参していた地図は昭文社の山と高原地図、登山道は天狗塚から牛ノ背三角点までしか描かれてなかったのです。
この頃は昭文社地図が登山道のすべてだと思っていたので、まさかという思いでしたが、それからしばらくの年月を経て、ネットで簡単に国土地理院の地図が閲覧できたり印刷できたりするようになってることを知って、地理院サイトを覗いたところ堰堤辺りからと亀尻峠から登山道が延びているのを見て納得したのでした。
それ以来、天狗塚へ登るときは堰堤付近の登山口を利用するようになったが、ある日、突然にその付近に入山禁止の立て札が立てられた。
それ以後、ながらくこの山には登っていなかったが、昨年、久しぶりにその堰堤付近を覗いたところ立て札は取り除かれていた。
何年経っても牛ノ背とその後ろに聳える天狗塚の景色は忘れられるものじゃない。
もう一度、登ろうと思った。
妻も行きたいという。
むふふふ、やつはもう花だけじゃない。
すっかり山の虜になっている。
というわけで、起床4時、もぞもぞして5時過ぎに自宅を出発。
いつもながら登山口までは遠い。
自宅から2時間半は掛かる。
途中猪ノ鼻峠での気温は-4°、標高1800mだとこの時刻には-12°、随分と冷えてることやろな-。
439号線を走って、落合集落を過ぎ、蔓原から右折して西山林道への橋を渡ろうとしたところ、2km先工事中につき全面通行止めの看板が…、ガビョ-ン。
看板を読むと「天狗塚登山の方はいやしの温泉郷から」と書かれていたのでちょっとだけ安心した。
再び439号線を走って、駄目だろうと思いつつ久保から右折して西山林道へ。
最終民家から西山林道に合流して左折したところで、やはり工事中の看板が立てられていた。
すぐ先の道の上ど真ん中に重機が居座っていた。
工事は1月5日から未定…ガビョビョ-ン。
いやしの温泉郷へ行き、ところどころ凍りついた林道をガタゴト走る。
登山口を過ぎたすぐその先にも工事中の看板があって、3km先(堰堤方面)工事中につき全面通行止め、期間は1月31日まで…、ガビョガビョガビョ-ン!
牛ノ背周回諦めました。
妻は工事中の所は歩いてやと通れるんちゃうんと、未練たらたらでしたが、全面通行止めっちゅうことは歩行人もダメダメ。
それに重機の動く音がしてるし、仕事のお邪魔はできない。
林道から見上げた亀尻峠方向の稜線が真っ白く光っていた。
8:42、準備を済ませて簡易アイゼンをカチカチ響かせながら鉄階段を上る。
積雪は少なく、残っている雪も昨夜からの冷え込みでカチカチに引き締まっている。
![]()
![]()
振り返ると久保集落の上にサガリハゲとその右には東膳棚が見えている。
矢筈山はこの位置からはサガリハゲの後ろに隠れているようでした。
![]()
![]()
しばらく植林の尾根を歩き、やがて1476mの小ピ-クへ。
古い道標がいまだに健在でした。
「木の根開き」は雪融け時の不思議な現象の一つですが、幹の回りの雪が丸く融けて、コタツでもあるのかなと、ついありもしないことを思ってしまうのです。
幹は反射熱などで結構温かいんでしょうね。
それと一説によると、樹木そのものが凍りにくいように冬になると糖分などの濃度を高くしているんだそうです。
冬野菜が甘いというのは、なるほどと頷けます。
![]()
![]()
雪が少し増えてきましたが、固くてアイゼンの刃ががっちり刺さりますので、足を取られることはありません。
何かの木に何かの実が、さっぱり分かりません。
![]()
![]()
1476mPにはモミかシラベの針葉樹に混じって大きなダケカンバの木がありましたが、ダケカンバの多い尾根です。
青空ですが、なんとなく薄い刷毛雲のような雲が広がってきた。
山頂までなんとかお天気が持ってくれればと願いつつ。
![]()
![]()
枝先が赤いダケカンバの林の向こうには祖谷山系が横たわっていますが、落合峠を真っ正面にして左から寒峰、烏帽山、そして矢筈山から黒笠山も見えています。
![]()
右手には牛ノ背の尾根が広がり、雪斑は笹原と樹林帯との境目で見事な色分けをしていました。
![]()
辺りはシ-ンとして音のない世界。
足元からはアイゼンが雪の中に突き刺さり、歩くたんびにガジガジと刃先がこねくる音のみが伝わってくる。
![]()
かなり高度が上がったようで、小さな木の枝には霧氷が融け落ちずに我慢強く踏ん張っている。
![]()
![]()
ガジガジガジ、陽が尾根上から凍りついた雪を照らし出す。
![]()
![]()
登り詰めたところは夏道から少し東にずれたようだ。
西熊山から三嶺への稜線が目を釘付けにした。
わたしには出来ないことだが、この稜線をこの季節に歩ける人は幸せものだと思った。
![]()
11:07、道標のある西山分岐に着く。
ここまでの所要時間はおおよそ2時間半、無積雪期より少し時間が掛かったが、この時期にしては順調すぎる。
雪が少ないことに加え、固く締まっていたためでした。
遅れている妻を待った。
ここのところ寝不足で少し疲れているようだったが、ここまで来たんだからと半ば強引に天狗まで引っ張る。
ゆっくり歩いて30分もあれば十分、ガンバ。
![]()
![]()
空気が乾いているようで、沓掛山から笹ヶ峰、遠くの石鎚山もすぐ間近に見えた。
※写真の右手には豊受山~赤星山~二ッ岳~東赤石山も随分はっきりと見えていました。
![]()
行くのを止めるかなと思ってた妻は、意外とすんなり鞍部へと歩み出しました。
![]()
![]()
岩の間を抜けて…。
![]()
![]()
ゆっくり近づいていく。
左には地蔵ノ頭から綱附森へと続く稜線。
![]()
![]()
天狗の面先に来ました。
わずかにトレ-スが残されていましたが、たぶん先週土・日に歩いた2~3人の方の足跡です。
![]()
天狗峠方面を振り返る。
小枝に張り付いた海老のシッポ。
![]()
![]()
ちょっとした雪庇もありました。
三嶺を眺める。
![]()
![]()
綱附森と高知方面。
11:46、天狗塚山頂到着。
![]()
![]()
土佐矢筈山。
牛ノ背。
![]()
![]()
凍てついたコメツツジ群。
サンドイッチを牛乳で流し込んで下山。
時間的には十分にミツコバの三角点まで往復出来そうでしたが、さすがに妻には声を掛けられませんでした。
むしろ妻はこの時点でもまだ牛ノ背から堰堤付近の登山口へと周回したがってましたが、重機が動いている工事中のところを通り抜けるにはね~、我が儘はいけません。
鞍部へ降りて…。
![]()
![]()
再び西山分岐へ。
![]()
![]()
天狗と牛ノ背の景色を和みつつ西山へ。
![]()
![]()
重たい雲が頭上に広がってきました。
この季節はガスッたり、少しでも吹雪くと怖い思いしますよね。
空も地平線も周りの風景も真っ白になってしまって、どこを歩いているのやらさっぱり判らなくなる。
![]()
![]()
今日はわかんも必要なければ、簡易アイゼンも2本爪か4本爪で十分な雪量と雪質です。
![]()
![]()
標高おおよそ1740m辺りで天狗塚の見納めです。
![]()
祖谷山系の全貌を眺めるのもここで見納めになります。
![]()
やがて樹林帯へと入る。
アニマルトラックはうさぎのみ、動物や野鳥の姿はなく、やや寂しい山域です。
![]()
![]()
登山口のある西山林道に降りてきました。
堰堤方面寄りに車を走らせて、工事の様子を見ました。
ほぼ法面は出来上がっているようで、この地点の開通は間もなくですが、西山集落の手前までしか行けません。
通り抜けできるのはいつのことになるでしょうか。
冬に見る天狗塚、久し振りでした。
この山を歩く度に、牛ノ背のない天狗塚、もしくは逆に天狗塚のない牛ノ背ってどんなんやろかと、しょ-もないことをふと考えてしまいます。
一頃有名になったライオン岩や、三嶺の北西尾根1806m付近にある白骨樹とかが懐かしく感じました。
![]()
![]()
登山口8:42-9:43<1476mP>9:53-11:07西山分岐11:13-11:46天狗塚山頂12:14-西山分岐12:38-1476mP13:25-13:59登山口
![]()
グ-グルマップは→こちら(登山口などの位置が判り易い地図)
ル-トラボは→こちら(コ-スタイム、距離などが判る地図)
山行日 2015年1月29日
標高 1812m
登山口 東祖谷西山林道
駐車場 あり(登山口東)※登山口前に広い路肩も有り3~4台駐車可
トイレ なし
水場 なし
メンバ- ピオ-ネ、むらくも
天狗塚、この山に初めて登ったときに山頂から眺めた風景に驚いたことを覚えている。
それは東にある三嶺を眺めた景色でもなく、南の綱附森がある高知方面を眺めた景色でもなく、太平洋が見えたからでもない。
天狗塚から西に広がるあの茫洋とした牛ノ背を眺めたとき、その背中を是非歩いてみたいと思ったことでした。
その頃は三角点のある辺りをミツコバというがその地名も由来も知らなかった。
三角点の点名は古味という。
その日は吸い込まれるようにミツコバ方面に向かって歩いたが、時間がなく途中で引き返した。
そのとき、三角点方面から歩いてきた一人の男性に出合ったのですが、お尋ねしたところ牛ノ背西にある登山口から登ってきたとのこと。
なんのことかこのときは解らなかった。
当時、持参していた地図は昭文社の山と高原地図、登山道は天狗塚から牛ノ背三角点までしか描かれてなかったのです。
この頃は昭文社地図が登山道のすべてだと思っていたので、まさかという思いでしたが、それからしばらくの年月を経て、ネットで簡単に国土地理院の地図が閲覧できたり印刷できたりするようになってることを知って、地理院サイトを覗いたところ堰堤辺りからと亀尻峠から登山道が延びているのを見て納得したのでした。
それ以来、天狗塚へ登るときは堰堤付近の登山口を利用するようになったが、ある日、突然にその付近に入山禁止の立て札が立てられた。
それ以後、ながらくこの山には登っていなかったが、昨年、久しぶりにその堰堤付近を覗いたところ立て札は取り除かれていた。
何年経っても牛ノ背とその後ろに聳える天狗塚の景色は忘れられるものじゃない。
もう一度、登ろうと思った。
妻も行きたいという。
むふふふ、やつはもう花だけじゃない。
すっかり山の虜になっている。
というわけで、起床4時、もぞもぞして5時過ぎに自宅を出発。
いつもながら登山口までは遠い。
自宅から2時間半は掛かる。
途中猪ノ鼻峠での気温は-4°、標高1800mだとこの時刻には-12°、随分と冷えてることやろな-。
439号線を走って、落合集落を過ぎ、蔓原から右折して西山林道への橋を渡ろうとしたところ、2km先工事中につき全面通行止めの看板が…、ガビョ-ン。
看板を読むと「天狗塚登山の方はいやしの温泉郷から」と書かれていたのでちょっとだけ安心した。
再び439号線を走って、駄目だろうと思いつつ久保から右折して西山林道へ。
最終民家から西山林道に合流して左折したところで、やはり工事中の看板が立てられていた。
すぐ先の道の上ど真ん中に重機が居座っていた。
工事は1月5日から未定…ガビョビョ-ン。
いやしの温泉郷へ行き、ところどころ凍りついた林道をガタゴト走る。
登山口を過ぎたすぐその先にも工事中の看板があって、3km先(堰堤方面)工事中につき全面通行止め、期間は1月31日まで…、ガビョガビョガビョ-ン!
牛ノ背周回諦めました。
妻は工事中の所は歩いてやと通れるんちゃうんと、未練たらたらでしたが、全面通行止めっちゅうことは歩行人もダメダメ。
それに重機の動く音がしてるし、仕事のお邪魔はできない。
林道から見上げた亀尻峠方向の稜線が真っ白く光っていた。
8:42、準備を済ませて簡易アイゼンをカチカチ響かせながら鉄階段を上る。
積雪は少なく、残っている雪も昨夜からの冷え込みでカチカチに引き締まっている。


振り返ると久保集落の上にサガリハゲとその右には東膳棚が見えている。
矢筈山はこの位置からはサガリハゲの後ろに隠れているようでした。


しばらく植林の尾根を歩き、やがて1476mの小ピ-クへ。
古い道標がいまだに健在でした。
「木の根開き」は雪融け時の不思議な現象の一つですが、幹の回りの雪が丸く融けて、コタツでもあるのかなと、ついありもしないことを思ってしまうのです。
幹は反射熱などで結構温かいんでしょうね。
それと一説によると、樹木そのものが凍りにくいように冬になると糖分などの濃度を高くしているんだそうです。
冬野菜が甘いというのは、なるほどと頷けます。


雪が少し増えてきましたが、固くてアイゼンの刃ががっちり刺さりますので、足を取られることはありません。
何かの木に何かの実が、さっぱり分かりません。


1476mPにはモミかシラベの針葉樹に混じって大きなダケカンバの木がありましたが、ダケカンバの多い尾根です。
青空ですが、なんとなく薄い刷毛雲のような雲が広がってきた。
山頂までなんとかお天気が持ってくれればと願いつつ。


枝先が赤いダケカンバの林の向こうには祖谷山系が横たわっていますが、落合峠を真っ正面にして左から寒峰、烏帽山、そして矢筈山から黒笠山も見えています。

右手には牛ノ背の尾根が広がり、雪斑は笹原と樹林帯との境目で見事な色分けをしていました。

辺りはシ-ンとして音のない世界。
足元からはアイゼンが雪の中に突き刺さり、歩くたんびにガジガジと刃先がこねくる音のみが伝わってくる。

かなり高度が上がったようで、小さな木の枝には霧氷が融け落ちずに我慢強く踏ん張っている。


ガジガジガジ、陽が尾根上から凍りついた雪を照らし出す。


登り詰めたところは夏道から少し東にずれたようだ。
西熊山から三嶺への稜線が目を釘付けにした。
わたしには出来ないことだが、この稜線をこの季節に歩ける人は幸せものだと思った。

11:07、道標のある西山分岐に着く。
ここまでの所要時間はおおよそ2時間半、無積雪期より少し時間が掛かったが、この時期にしては順調すぎる。
雪が少ないことに加え、固く締まっていたためでした。
遅れている妻を待った。
ここのところ寝不足で少し疲れているようだったが、ここまで来たんだからと半ば強引に天狗まで引っ張る。
ゆっくり歩いて30分もあれば十分、ガンバ。


空気が乾いているようで、沓掛山から笹ヶ峰、遠くの石鎚山もすぐ間近に見えた。
※写真の右手には豊受山~赤星山~二ッ岳~東赤石山も随分はっきりと見えていました。

行くのを止めるかなと思ってた妻は、意外とすんなり鞍部へと歩み出しました。


岩の間を抜けて…。


ゆっくり近づいていく。
左には地蔵ノ頭から綱附森へと続く稜線。


天狗の面先に来ました。
わずかにトレ-スが残されていましたが、たぶん先週土・日に歩いた2~3人の方の足跡です。

天狗峠方面を振り返る。
小枝に張り付いた海老のシッポ。


ちょっとした雪庇もありました。
三嶺を眺める。


綱附森と高知方面。
11:46、天狗塚山頂到着。


土佐矢筈山。
牛ノ背。


凍てついたコメツツジ群。
サンドイッチを牛乳で流し込んで下山。
時間的には十分にミツコバの三角点まで往復出来そうでしたが、さすがに妻には声を掛けられませんでした。
むしろ妻はこの時点でもまだ牛ノ背から堰堤付近の登山口へと周回したがってましたが、重機が動いている工事中のところを通り抜けるにはね~、我が儘はいけません。
鞍部へ降りて…。


再び西山分岐へ。


天狗と牛ノ背の景色を和みつつ西山へ。


重たい雲が頭上に広がってきました。
この季節はガスッたり、少しでも吹雪くと怖い思いしますよね。
空も地平線も周りの風景も真っ白になってしまって、どこを歩いているのやらさっぱり判らなくなる。


今日はわかんも必要なければ、簡易アイゼンも2本爪か4本爪で十分な雪量と雪質です。


標高おおよそ1740m辺りで天狗塚の見納めです。

祖谷山系の全貌を眺めるのもここで見納めになります。

やがて樹林帯へと入る。
アニマルトラックはうさぎのみ、動物や野鳥の姿はなく、やや寂しい山域です。


登山口のある西山林道に降りてきました。
堰堤方面寄りに車を走らせて、工事の様子を見ました。
ほぼ法面は出来上がっているようで、この地点の開通は間もなくですが、西山集落の手前までしか行けません。
通り抜けできるのはいつのことになるでしょうか。
冬に見る天狗塚、久し振りでした。
この山を歩く度に、牛ノ背のない天狗塚、もしくは逆に天狗塚のない牛ノ背ってどんなんやろかと、しょ-もないことをふと考えてしまいます。
一頃有名になったライオン岩や、三嶺の北西尾根1806m付近にある白骨樹とかが懐かしく感じました。


登山口8:42-9:43<1476mP>9:53-11:07西山分岐11:13-11:46天狗塚山頂12:14-西山分岐12:38-1476mP13:25-13:59登山口

グ-グルマップは→こちら(登山口などの位置が判り易い地図)
ル-トラボは→こちら(コ-スタイム、距離などが判る地図)