檜ノ丸、八面山 ひのきのまる、やつらさん
山行日 2015年12月22日
標高 1168m、1312.5m
登山口 つるぎ町一宇上剪宇
下山口 同上 九藤中
駐車場 なし(林道広い路肩)
トイレ なし
水場 九藤中川上流沢(標高おおよそ800m)
メンバー ピオーネ、むらくも
一昔も二昔も前には、ブリタニカとか平凡社とかの世界百科事典と言って、全20うん巻20うん万円とか、ものすごい値段で買って、応接室の本棚に飾ってた。
それが当時のステータスシンボル的な、家族に向かって、あるいはときおり訪れる知人や親せきに対して、わしは知性があってピカピカ輝いててどや出世したやろみたいなことをやっていた。
ところが、そんな時代は過去の化石&遺物化してしまい、パソコンかスマホ一つあればどんなことも調べることができてしまう。
百科事典に載ってないことまで調べることができ、動画や画像が瞬時にみられたり、ありとあらゆる音楽を聴くこともできるようになった。
かくしてニキビ面の若者の部屋や殿方の寝室からエロ本がなくなり、いつのまにか白いポストが街角の隅から消えていった。
ひと頃原爆の作り方なんていうのもあったりで、世界中に衝撃が走ったこともあった。
温泉に行きたいともなれば、交通手段からそこへのアクセス、距離、時間、宿泊施設、当日のお天気、アルカリ温泉はヌルヌルでやれ美肌効果満点、酸性質の温泉はさらっさらで傷や化膿にいいだとか、海傍の夕陽大展望露天風呂に山の中の紅葉絶景温泉だとか、料理は新鮮ぴちぴちのイカスミぴゅっぴゅっ料理か山菜&きのこ鍋&イノシシぶひぶひ料理でどっちやみたいな、なんでもわかってしまう。
とにかく便利だが、落とし穴もある。
なんでもかんでも事前に調べてしまうと、結局はマニュアル化してしまい、時間にせかされて面白みもなんもなくなってしまって味気ないこと。
ある日突然にぶらーりと行って、無計画に無頓着に好きなところを風テンの寅さんのようにということができない。
山も同じようなもので、事細かくわかってしまうとさっぱり面白くない。
昨年、ちまちま隊のメンバーで「黒岩ー茶せんぎー友内山ー毘沙門岳」の稜線を歩いたとき、毘沙門岳から剪宇峠への下りで眺めた「檜ノ丸ー八面山」へと続く尾根筋が凸凹の激しい様相をしており、気になっていた。
同行していたアンジーパパさんからは、アップダウンが厳しくて、迷いやすい稜線だと聞いていた。
妻も長らく気に留めていたようで、12月に入って珍しく妻からこの稜線歩きの話を持ち出してきた。
八面山へは何度か訪れているが、いずれも奥大野もしくは大佐古から登っていて、剪宇峠からも九藤中も歩いたことはない。
下調べはせずに、2万5千図だけプリントアウトしていくことにした。
国土地理院地図には今回もっとも気になっていた檜ノ丸の山名が載ってなく、どのピークがそうなのかそれも把握せずに出かけた。
早朝4時半起床、6時前観音寺の自宅を出発。
このくらいの時刻に家を出れば、日が暮れる前には下山できるんでないかというザッパ過ぎる出発。
川霧が少し漂っていたが、猪鼻トンネルでは気温5度、この時期としては暖かい。
貞光から国道438号線を剣山方面に走り、岩戸を過ぎ久藪集落への赤い大鳥居のある変則四つ角を伊良原方面へと左に折れる。
ほんの少し走ったところで四つ角があって、その付近の広い路肩に車を一台デポ。
因みにこの四つ角を左に行くと大野の集落、右にとると伊良原集落、直進すると九藤中川を遡り林道は行止まるが、そこが八面山への登山口となっている。
引き返し国道438号線を貞光方向に走り、岩戸温泉を過ぎたところで剪宇方向に右折し県道259号線をくねくねと上っていく。
下剪宇を過ぎ、上剪宇の青い屋根の薬師堂を過ぎてダート道に入ったほんの少し先のところで山手側に剪宇峠への登山口(道標あり)がある。
259号線からさらに延伸するその未舗装の林道は、地理院地図には載ってはいないが、剪宇峠から檜ノ丸への稜線西側中腹に沿ってかなり奥まで伸びているようだ。
先日降った雪はこのところの暖かさで消えてない。
8:16、登山口道標のあるところからスタートした。
すぐに道は右と左に分かれるが、剪宇峠への直登は右、しかし、ここは敢えて左へと上った。
作業道左側の伐採地には気の早いミツマタの白い花がたくさん咲いていた。
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後ろを振り返ると、標高1073・4mの志貴岳の左中腹に赤松集落が見え、その後方に火打山への尾根筋がくっきり。
志貴岳には昨年の春に登り、そのすぐ西稜線上にある焼堂峠へは丁度2年前の12月に歩いている。
その尾根筋を眺めながら思い出してみるが、脳裏には断片的な景色しか浮かんでこない。
記憶力の悪いわたしだけかもしれないが、薄れゆく記憶の早いこと。
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20分ほどで稜線に乗ったが、右に進むべきところを左の毘沙門岳方向へと歩いてしまった。
毘沙門岳へ寄ってみたい気もしたが、今日は冬至で一年のなかで日が一番短くて、八面山までどれほどの時間がかかるかを把握していない。
慌てて南へ引き返す。
これから歩く1078mピークの尖がり頭が見え、その先の稜線はここからはわずかしか見えていないが、なんとなく多くのアップダウンが待ち構えていそうな雰囲気。
足元には季節外れのスミレがちらほら。
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8:53、見覚えのある剪宇峠に到着。
昭和48年(1973年)5月26日、この峠付近で長さ10m、直径30cmはあろうかという大蛇発見したことがマスコミを賑わした。
探検隊が編成され、付近で捜査した結果、40cmもの太さのなにかが這った痕跡があったという。
峠には、北側に大きな杉の木の根元には二体の太子像が祠に安置され、南側の木の根元には小さなお地蔵さんとその傍に手水鉢が置かれていたが、辺りはシンと静まりかえり鳥の鳴き声さえ聞こえない。
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急登が始まり汗が噴き出す。
上着を脱ぎ、シャツ姿になる。
標高おおよそ980m、「剪宇の赤松」という標識があった。
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赤松を見上げる。
空は青く快晴だ。
なおも急登が続く。
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1078mピークに達し下りに差し掛かるが、前方右下方から話し声が聞こえてきた。
声のする方向が稜線からではないので不思議に思ったところ、そこは伐採地で下方向に林道が走っている。
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40mほど下って下を覗いてみると重機が三台、何人かが作業をしていた。
30mほど登り返して小さな鞍部に、そこからは岩のやせ尾根になり、一か所難儀なところに差し掛かった。
さして大きな岩ではなかったのだが、前方に下っており細長くてステップがない。
なんとか乗り切った。
後ろから来た妻がその岩場で立ち往生してしまった。
180度の大股開き、そのままの姿勢で前にも後ろにも動きがとれなくなった。
うんうん唸り、必死の形相、あんなにおとろしい顔初めて見た。
修験道の開祖である役小角が従えていたとされる夫婦で、前鬼・後鬼(ぜんき・ごき)という鬼がいたそうだが、前鬼が夫で後鬼がその妻。
写真で見たその後鬼さんそっくりでした。
体を支えてやり、手で足を握り、安定した置き場へ誘導した。
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岩場は乗り切ったかなと一安心と思ってたら、今度は見上げるように大きな岩が立ちふさがった。
左右ともに迂回するにはどうかなと思うようなかなりの急斜面。
直進しようかどうしようか迷いながら妻の顔色を見ると、妻はなんとか行けそうやと言う。
岩の隙間から木が生えているので、それをつかみながら登れないことはないが止めた。
わたしは3週間前に自転車で転倒し左足関節を強打、後部十字靭帯断裂で、膝がカクカクして力が入らない状態。
妻にも危険なことはさせられない。
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急斜面だったが比較的安全な右方向へ一旦下りながら岩場を巻いた。
再び尾根に戻ったところには小さな祠があって、小さな鳥居が中に安置されていた。
標高1110mちょい、檜ノ丸大権現さんだった。
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それからは一転して岩場のない比較的なだらかな稜線歩きとなった。
妻は安心したこともあってか、股が筋肉痛やと訴えだした。
岩場で思い切り股開きをしたときの痛みなんだろうけど、普段のストレッチ不足で体が硬い。
わたしより足が長いはずなんだけどね、あら不思議?
ワイヤーがとぐろを巻いて日向ぼっこをしているし、前方には形のいいピークが見えているし、あれが八面山だろうか、いや、あの後ろかもしれない。
後方は剣山?
景色を眺め思いを巡らせる。
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南西方向に白い頂、三嶺です。
その左は三嶺からの尾根続きのように写真では見えるが、塔ノ丸のようでした。
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西には矢筈山があって、手前に津志嶽、そしてこの位置からは黒笠山は矢筈山の左手に位置しているようです。
そして、斜面下を見ると、林道がここまで延びてきている。
写真を撮っている位置は標高おおよそ1140m、檜ノ丸山頂の少し手前の稜線上だ。
この林道はおそらく剪宇峠への登山口までつながっているだろうから、危険な状態から逃げようと思えばいつでも逃げられる。
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ピンクのテープや境界杭がにぎやかです。
二段巻きテープの下方にもテープがあるということは、ここから林道へ降りられるという目印でしょうか?
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11:15、標高1186m、檜ノ丸山頂に到着。
行程は登山口から3時間、まだ八面山へは半分の位置、八面山には14時頃になるが、山頂から九藤中へは2時間から2時間半と計算して、下山は16時過ぎ~17時の間、日没までにはなんとか下りられそう。
このまま前進することにしよう。
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おなじみの境界見出標があって、初めて目にする五段巻きテープ。
五段巻き?
どんな意味があるんでしょうか?
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檜ノ丸手前辺りからブナの木が目立ちはじめたが、カラマツ林も続いており、秋になれば見事な黄葉を見ることができるのではないかと思った。
足元にはカラマツの落ち葉が敷き詰められていて、清楚な印象でした。
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突然歩きにくくなった。
どういうわけか尾根辺りはは背の低い灌木だけが伐採されていて、積み重なり行く手を阻む。
だいぶ長いこと続いたが、1190mPの次にある小さなコブを越え、八面山に近づいたところでやっと落ち着き、歩きよくなった。、
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13:38、八面山山頂に到着。
遅まきながらここでお昼御飯です。
途中でバナナ休憩をしたり、小腹を起こしながら歩いたので、あまり空いてなく、パンと牛乳で済ませた。
妻は少し疲れた容子で、小さなカップ麺にお湯を注いで準備したが、あわてて食べるもんだから、麺に芯が残ってたようだ。
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山頂からの展望は以前来たときより周りの樹木が伐採されており、よく見える。
こちらは南方向なのでたぶん赤帽子山とその奥は一ノ森でないかと思うのですが、当たってるかどうか?
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こちらは南東方向、目視したときは雨量レーダードームが見えたので高城山だと思ったのだが、写真を見るとそれらしきものが写っていない。
まだ歩いたことのない綱付山はもう少し左に見えていたのがそうなんだろう。
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西には矢筈山、黒笠山。
14:02、下山開始。
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八面神社へ下る途中にあるブナの大木。
3mは優に超えている。
3年半ぶりの八面神社へお詣り。
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境内に低く張られた索道をくぐって、九藤中と奥大野の道への分岐へ。
道標には奥大野へ1.55km、九藤中へ2.7kmと記されていた。
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杉林の尾根筋を下るが途中に杉の根っこに小さな祠があって、やがて右岸から左岸へ渡渉する地点に着いた。
分岐からここまで足の疲れもあって休み休みしながら50分かかった。
地理院地図では九藤中への破線の道は谷筋に描かれているが、後日にログで歩いたルートを確かめると、尾根筋を歩いている。
そこからさらに10分ほどでもう一度左岸から右岸へ渡渉をするが両方とも橋はなく、踏み跡が明瞭ではないので注意を要する。
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沢を渡ってすぐに石垣が現れ、九藤中へ1.15kmと記した道標が立っていた。
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やがて九藤中集落の建物が現れ、鹿除けネットの中の道を歩くと…。
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整備された畑と民家が見えてくる。
道標に従って下るが、途中で右方向に折れ、モノレールのある民家の前をとおり…。
道標には九藤中林道へ0.45kmと記されている。
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レールに沿ってどんどん下っていく。
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レール道は450mを過ぎてると思うのにいつまでも延々と続く。
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おかしいな~と思いながらもどんどん下っていくとやがてモノレール終点(この場合は始点だろうか?)
先ほど記されていた0.45km先の九藤中林道はここではなさそうで、もっと手前らしい。
道標からここまで歩いた時間が26分も…。
450mの歩きよい下り道はいくらなんでも26分はかからない。
どうやら他に道があったようで、わたしたちは間違ってしまった。
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堰堤のある林道を下って、16:21、駐車地点に戻ってきました。
8時間ほどの歩きでしたが、今日は少し疲れました。
急いで剪宇峠登山口へ行き、車を回収。
今日は冬至、岩戸温泉か木綿麻温泉のどちらかに入るつもりで来たのですが、どちらもパス。
自宅のお風呂にユズを三個浮かべた。
いい香りが漂うお風呂で今日一日の山行を振り返えりつつ、「365日の紙飛行機」を口ずさむ。
人生は紙飛行機
願い乗せて飛んでいくよ
風の中を力の限り
ただ進むだけ
その距離を競うより
どう飛んだか
どこを飛んだのか
それが一番大切なんだ
さあ、心のままに
365日
飛んで行け
飛んでみよう
気持ちいい~♪
さあ、次の山に飛んでいこうっ!
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上剪宇登山口8:16-剪宇峠8:53-剪宇の赤松9:19ー岩尾根10:19ー檜ノ丸大権現祠10:50ー檜ノ丸11:15ー1190mP12:46ー13:38八面山14:02ー分岐14:19-第一渡渉地点15:07-第二渡渉地点15:18-九藤中(モノレール始点)15:47-モノレール終点(林道)16:12-16:21九藤中川駐車地点
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グーグルマップ(登山口などの位置がわかりやすい地図)→こちら
ルートラボ(距離や時間が把握しやすい地図)→こちら
山行日 2015年12月22日
標高 1168m、1312.5m
登山口 つるぎ町一宇上剪宇
下山口 同上 九藤中
駐車場 なし(林道広い路肩)
トイレ なし
水場 九藤中川上流沢(標高おおよそ800m)
メンバー ピオーネ、むらくも
一昔も二昔も前には、ブリタニカとか平凡社とかの世界百科事典と言って、全20うん巻20うん万円とか、ものすごい値段で買って、応接室の本棚に飾ってた。
それが当時のステータスシンボル的な、家族に向かって、あるいはときおり訪れる知人や親せきに対して、わしは知性があってピカピカ輝いててどや出世したやろみたいなことをやっていた。
ところが、そんな時代は過去の化石&遺物化してしまい、パソコンかスマホ一つあればどんなことも調べることができてしまう。
百科事典に載ってないことまで調べることができ、動画や画像が瞬時にみられたり、ありとあらゆる音楽を聴くこともできるようになった。
かくしてニキビ面の若者の部屋や殿方の寝室からエロ本がなくなり、いつのまにか白いポストが街角の隅から消えていった。
ひと頃原爆の作り方なんていうのもあったりで、世界中に衝撃が走ったこともあった。
温泉に行きたいともなれば、交通手段からそこへのアクセス、距離、時間、宿泊施設、当日のお天気、アルカリ温泉はヌルヌルでやれ美肌効果満点、酸性質の温泉はさらっさらで傷や化膿にいいだとか、海傍の夕陽大展望露天風呂に山の中の紅葉絶景温泉だとか、料理は新鮮ぴちぴちのイカスミぴゅっぴゅっ料理か山菜&きのこ鍋&イノシシぶひぶひ料理でどっちやみたいな、なんでもわかってしまう。
とにかく便利だが、落とし穴もある。
なんでもかんでも事前に調べてしまうと、結局はマニュアル化してしまい、時間にせかされて面白みもなんもなくなってしまって味気ないこと。
ある日突然にぶらーりと行って、無計画に無頓着に好きなところを風テンの寅さんのようにということができない。
山も同じようなもので、事細かくわかってしまうとさっぱり面白くない。
昨年、ちまちま隊のメンバーで「黒岩ー茶せんぎー友内山ー毘沙門岳」の稜線を歩いたとき、毘沙門岳から剪宇峠への下りで眺めた「檜ノ丸ー八面山」へと続く尾根筋が凸凹の激しい様相をしており、気になっていた。
同行していたアンジーパパさんからは、アップダウンが厳しくて、迷いやすい稜線だと聞いていた。
妻も長らく気に留めていたようで、12月に入って珍しく妻からこの稜線歩きの話を持ち出してきた。
八面山へは何度か訪れているが、いずれも奥大野もしくは大佐古から登っていて、剪宇峠からも九藤中も歩いたことはない。
下調べはせずに、2万5千図だけプリントアウトしていくことにした。
国土地理院地図には今回もっとも気になっていた檜ノ丸の山名が載ってなく、どのピークがそうなのかそれも把握せずに出かけた。
早朝4時半起床、6時前観音寺の自宅を出発。
このくらいの時刻に家を出れば、日が暮れる前には下山できるんでないかというザッパ過ぎる出発。
川霧が少し漂っていたが、猪鼻トンネルでは気温5度、この時期としては暖かい。
貞光から国道438号線を剣山方面に走り、岩戸を過ぎ久藪集落への赤い大鳥居のある変則四つ角を伊良原方面へと左に折れる。
ほんの少し走ったところで四つ角があって、その付近の広い路肩に車を一台デポ。
因みにこの四つ角を左に行くと大野の集落、右にとると伊良原集落、直進すると九藤中川を遡り林道は行止まるが、そこが八面山への登山口となっている。
引き返し国道438号線を貞光方向に走り、岩戸温泉を過ぎたところで剪宇方向に右折し県道259号線をくねくねと上っていく。
下剪宇を過ぎ、上剪宇の青い屋根の薬師堂を過ぎてダート道に入ったほんの少し先のところで山手側に剪宇峠への登山口(道標あり)がある。
259号線からさらに延伸するその未舗装の林道は、地理院地図には載ってはいないが、剪宇峠から檜ノ丸への稜線西側中腹に沿ってかなり奥まで伸びているようだ。
先日降った雪はこのところの暖かさで消えてない。
8:16、登山口道標のあるところからスタートした。
すぐに道は右と左に分かれるが、剪宇峠への直登は右、しかし、ここは敢えて左へと上った。
作業道左側の伐採地には気の早いミツマタの白い花がたくさん咲いていた。
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後ろを振り返ると、標高1073・4mの志貴岳の左中腹に赤松集落が見え、その後方に火打山への尾根筋がくっきり。
志貴岳には昨年の春に登り、そのすぐ西稜線上にある焼堂峠へは丁度2年前の12月に歩いている。
その尾根筋を眺めながら思い出してみるが、脳裏には断片的な景色しか浮かんでこない。
記憶力の悪いわたしだけかもしれないが、薄れゆく記憶の早いこと。
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20分ほどで稜線に乗ったが、右に進むべきところを左の毘沙門岳方向へと歩いてしまった。
毘沙門岳へ寄ってみたい気もしたが、今日は冬至で一年のなかで日が一番短くて、八面山までどれほどの時間がかかるかを把握していない。
慌てて南へ引き返す。
これから歩く1078mピークの尖がり頭が見え、その先の稜線はここからはわずかしか見えていないが、なんとなく多くのアップダウンが待ち構えていそうな雰囲気。
足元には季節外れのスミレがちらほら。
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8:53、見覚えのある剪宇峠に到着。
昭和48年(1973年)5月26日、この峠付近で長さ10m、直径30cmはあろうかという大蛇発見したことがマスコミを賑わした。
探検隊が編成され、付近で捜査した結果、40cmもの太さのなにかが這った痕跡があったという。
峠には、北側に大きな杉の木の根元には二体の太子像が祠に安置され、南側の木の根元には小さなお地蔵さんとその傍に手水鉢が置かれていたが、辺りはシンと静まりかえり鳥の鳴き声さえ聞こえない。
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急登が始まり汗が噴き出す。
上着を脱ぎ、シャツ姿になる。
標高おおよそ980m、「剪宇の赤松」という標識があった。
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赤松を見上げる。
空は青く快晴だ。
なおも急登が続く。
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1078mピークに達し下りに差し掛かるが、前方右下方から話し声が聞こえてきた。
声のする方向が稜線からではないので不思議に思ったところ、そこは伐採地で下方向に林道が走っている。
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40mほど下って下を覗いてみると重機が三台、何人かが作業をしていた。
30mほど登り返して小さな鞍部に、そこからは岩のやせ尾根になり、一か所難儀なところに差し掛かった。
さして大きな岩ではなかったのだが、前方に下っており細長くてステップがない。
なんとか乗り切った。
後ろから来た妻がその岩場で立ち往生してしまった。
180度の大股開き、そのままの姿勢で前にも後ろにも動きがとれなくなった。
うんうん唸り、必死の形相、あんなにおとろしい顔初めて見た。
修験道の開祖である役小角が従えていたとされる夫婦で、前鬼・後鬼(ぜんき・ごき)という鬼がいたそうだが、前鬼が夫で後鬼がその妻。
写真で見たその後鬼さんそっくりでした。
体を支えてやり、手で足を握り、安定した置き場へ誘導した。
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岩場は乗り切ったかなと一安心と思ってたら、今度は見上げるように大きな岩が立ちふさがった。
左右ともに迂回するにはどうかなと思うようなかなりの急斜面。
直進しようかどうしようか迷いながら妻の顔色を見ると、妻はなんとか行けそうやと言う。
岩の隙間から木が生えているので、それをつかみながら登れないことはないが止めた。
わたしは3週間前に自転車で転倒し左足関節を強打、後部十字靭帯断裂で、膝がカクカクして力が入らない状態。
妻にも危険なことはさせられない。
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急斜面だったが比較的安全な右方向へ一旦下りながら岩場を巻いた。
再び尾根に戻ったところには小さな祠があって、小さな鳥居が中に安置されていた。
標高1110mちょい、檜ノ丸大権現さんだった。
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それからは一転して岩場のない比較的なだらかな稜線歩きとなった。
妻は安心したこともあってか、股が筋肉痛やと訴えだした。
岩場で思い切り股開きをしたときの痛みなんだろうけど、普段のストレッチ不足で体が硬い。
わたしより足が長いはずなんだけどね、あら不思議?
ワイヤーがとぐろを巻いて日向ぼっこをしているし、前方には形のいいピークが見えているし、あれが八面山だろうか、いや、あの後ろかもしれない。
後方は剣山?
景色を眺め思いを巡らせる。
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南西方向に白い頂、三嶺です。
その左は三嶺からの尾根続きのように写真では見えるが、塔ノ丸のようでした。
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西には矢筈山があって、手前に津志嶽、そしてこの位置からは黒笠山は矢筈山の左手に位置しているようです。
そして、斜面下を見ると、林道がここまで延びてきている。
写真を撮っている位置は標高おおよそ1140m、檜ノ丸山頂の少し手前の稜線上だ。
この林道はおそらく剪宇峠への登山口までつながっているだろうから、危険な状態から逃げようと思えばいつでも逃げられる。
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ピンクのテープや境界杭がにぎやかです。
二段巻きテープの下方にもテープがあるということは、ここから林道へ降りられるという目印でしょうか?
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11:15、標高1186m、檜ノ丸山頂に到着。
行程は登山口から3時間、まだ八面山へは半分の位置、八面山には14時頃になるが、山頂から九藤中へは2時間から2時間半と計算して、下山は16時過ぎ~17時の間、日没までにはなんとか下りられそう。
このまま前進することにしよう。
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おなじみの境界見出標があって、初めて目にする五段巻きテープ。
五段巻き?
どんな意味があるんでしょうか?
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檜ノ丸手前辺りからブナの木が目立ちはじめたが、カラマツ林も続いており、秋になれば見事な黄葉を見ることができるのではないかと思った。
足元にはカラマツの落ち葉が敷き詰められていて、清楚な印象でした。
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突然歩きにくくなった。
どういうわけか尾根辺りはは背の低い灌木だけが伐採されていて、積み重なり行く手を阻む。
だいぶ長いこと続いたが、1190mPの次にある小さなコブを越え、八面山に近づいたところでやっと落ち着き、歩きよくなった。、
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13:38、八面山山頂に到着。
遅まきながらここでお昼御飯です。
途中でバナナ休憩をしたり、小腹を起こしながら歩いたので、あまり空いてなく、パンと牛乳で済ませた。
妻は少し疲れた容子で、小さなカップ麺にお湯を注いで準備したが、あわてて食べるもんだから、麺に芯が残ってたようだ。
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山頂からの展望は以前来たときより周りの樹木が伐採されており、よく見える。
こちらは南方向なのでたぶん赤帽子山とその奥は一ノ森でないかと思うのですが、当たってるかどうか?
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こちらは南東方向、目視したときは雨量レーダードームが見えたので高城山だと思ったのだが、写真を見るとそれらしきものが写っていない。
まだ歩いたことのない綱付山はもう少し左に見えていたのがそうなんだろう。
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西には矢筈山、黒笠山。
14:02、下山開始。
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八面神社へ下る途中にあるブナの大木。
3mは優に超えている。
3年半ぶりの八面神社へお詣り。
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境内に低く張られた索道をくぐって、九藤中と奥大野の道への分岐へ。
道標には奥大野へ1.55km、九藤中へ2.7kmと記されていた。
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杉林の尾根筋を下るが途中に杉の根っこに小さな祠があって、やがて右岸から左岸へ渡渉する地点に着いた。
分岐からここまで足の疲れもあって休み休みしながら50分かかった。
地理院地図では九藤中への破線の道は谷筋に描かれているが、後日にログで歩いたルートを確かめると、尾根筋を歩いている。
そこからさらに10分ほどでもう一度左岸から右岸へ渡渉をするが両方とも橋はなく、踏み跡が明瞭ではないので注意を要する。
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沢を渡ってすぐに石垣が現れ、九藤中へ1.15kmと記した道標が立っていた。
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やがて九藤中集落の建物が現れ、鹿除けネットの中の道を歩くと…。
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整備された畑と民家が見えてくる。
道標に従って下るが、途中で右方向に折れ、モノレールのある民家の前をとおり…。
道標には九藤中林道へ0.45kmと記されている。
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レールに沿ってどんどん下っていく。
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レール道は450mを過ぎてると思うのにいつまでも延々と続く。
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おかしいな~と思いながらもどんどん下っていくとやがてモノレール終点(この場合は始点だろうか?)
先ほど記されていた0.45km先の九藤中林道はここではなさそうで、もっと手前らしい。
道標からここまで歩いた時間が26分も…。
450mの歩きよい下り道はいくらなんでも26分はかからない。
どうやら他に道があったようで、わたしたちは間違ってしまった。
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堰堤のある林道を下って、16:21、駐車地点に戻ってきました。
8時間ほどの歩きでしたが、今日は少し疲れました。
急いで剪宇峠登山口へ行き、車を回収。
今日は冬至、岩戸温泉か木綿麻温泉のどちらかに入るつもりで来たのですが、どちらもパス。
自宅のお風呂にユズを三個浮かべた。
いい香りが漂うお風呂で今日一日の山行を振り返えりつつ、「365日の紙飛行機」を口ずさむ。
人生は紙飛行機
願い乗せて飛んでいくよ
風の中を力の限り
ただ進むだけ
その距離を競うより
どう飛んだか
どこを飛んだのか
それが一番大切なんだ
さあ、心のままに
365日
飛んで行け
飛んでみよう
気持ちいい~♪
さあ、次の山に飛んでいこうっ!
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上剪宇登山口8:16-剪宇峠8:53-剪宇の赤松9:19ー岩尾根10:19ー檜ノ丸大権現祠10:50ー檜ノ丸11:15ー1190mP12:46ー13:38八面山14:02ー分岐14:19-第一渡渉地点15:07-第二渡渉地点15:18-九藤中(モノレール始点)15:47-モノレール終点(林道)16:12-16:21九藤中川駐車地点
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グーグルマップ(登山口などの位置がわかりやすい地図)→こちら
ルートラボ(距離や時間が把握しやすい地図)→こちら